ちょっとだけ笑える話 ~消えた我が子~
これは俺が二歳の頃の話。
その頃家族は小さな借家に住んでいて、寝るときは親父とおふくろの間に俺という感じで川の字になって寝ていた。
ある朝、おふくろが目を覚ますと隣にいるはずの俺がどこにもいなかった。
二歳の俺は一人歩きはできていたもののまだオムツ生活で、一人ではトイレ、外出などは到底無理だった。
「まさかトイレ・・・」
と思ったおふくろがドアを開けて確認するがいない。
キッチン、風呂場、押し入れ、カーテンの中、家中の思いつくところを見てみたがどこにも俺はいなかった。
事の深刻さに気付いたおふくろは急いで親父を起こし、今の状況を伝えると親父も同じように家中を探したそうだ。
ドアや窓を確認したが、カギは全部閉まっていた。
その中で俺は忽然と消えてしまったのだ。
「もしかしたら外に出たのかもしれない・・・」
急いで寝間着姿のまま両親は近所を探し回ったが、見つけることはできなかった。
「警察に電話しよう」
そう二人で話し合うと急ぎ足で家に向かった。
半ばパニックになりながらおふくろは「誰かが家に侵入して連れ去ったのかもしれない、
そうなるとカギを持っているのは“大家さん?”」なんてことを考えていたそうだ。
家に着き、部屋で電話をかけようとすると、「す~っ、す~っ」かすかに音が聞こえる。
「す~っ、す~っ」
“寝息?”
その音は部屋の隅に合わせて置いてあるローテーブルの下からだった。
のぞき込んでみると、ぴったり壁に張り付くように俺が寝ていた。
どうも俺はとても寝相が悪く、ころころと転がりそのまま寝ていたようだ。
「ホント、あんた人騒がせなやつだったよ」
未だになんかの時におふくろはその話をする。
そう言われても俺はまったく覚えていないのに・・・
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【I wanna be loved】すみや八澄