ちょっとだけ怖い話 ~ピラミッドパワー~
これは俺が高校時代の話。
ある日友達が学校にオカルト系の雑誌を持ってきた。
それを見せてもらってるうちにハマってしまい、毎月自分でも買うようになった。
その雑誌には、毎月実用的な特集記事を掲載していて、その月は「ピラミッドパワー」の特集だった。
食品が腐りにくくなるとか、頭の回転が速くなるとかピラミッドパワーの効果が紹介されていた。
その中でも一番興味を引いたのが「願望実現」のやり方だった。
方法は紙に願望をマジックで書き、その紙をピラミッドの中に入れ、そのピラミッドを頭にかぶり願望をイメージするというものだった。
“こんなやり方で願いが叶うのか?”
と思いながらも、めちゃめちゃこういうことに興味があった俺は、記事の通りに工作用紙でピラミッドを作り実行することにしたんだ。
紙に書く願い事を何にしようか考えていると、思い浮かんだのが“高校の生活指導の先生を〇すこと”だった。
その先生は学生たちに異常(非常ではなく)に厳しいことで知られていて、特に頭髪検査などはひどかった。
ちょっと耳に髪がかかっただけでも反省文を書かせるし、元々赤っぽい髪の子にまで厳しく指導したりしていた。その子はとても真面目で大人しい子だったけど、信じられないくらい激昂していたよ。
だから、その当時は何とも思ってなかった。
今は文章を書いているだけでも恐ろしいことをしたと思ってる。
方法に則って頭にピラミッドをかぶりイメージそながら、“△△、〇ね、△△、〇ね”と念じ、それを三日間くらい続けたと思う。
それから一週間ほどして、学校で見かけた先生の右手にギブスが巻かれていた。
どうやら何もない廊下で転倒し、骨折したらしい。
“もしかしたらそれなりに効果あったのか?”
と思いつつ、しばらくすると特にそのことに対して関心は無くなっていた。
それからさらに一週間くらいたった時のこと。
その日学校は休みで、朝食を済ませた俺は部屋で雑誌かなんかを読んで過ごしていた。
するとホント突然、急に胸が苦しくなった。
まるで胸に杭を打たれているかのように激痛が走り、息も満足にできなくなってベッドに倒れこんだ。
声も出せなかった俺は助けを呼ぶこともできなかった。
“このまま死ぬのか”
そんなことさえ頭に浮かんだ。
しばらくの間、ベッドの上で苦しんでいたが30分程でなんとか落ち着いた。
その後知ったのだけど「人を呪えば穴二つ」といって呪った人間もその呪いを受けるんだね。
気のせいといえば気のせいなんだろうけど、俺自身心臓に持病はなかったし、それから同じようなことは起こらなかったから、やはりあのことが原因なんだと思う。
本当に先生が願い通り亡くなっていたら、俺はどうなっていたんだろう。
二度とこんなことやらないと誓ったよ。